×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


スピン

 この話は、以前恐怖体験談の方に載せていたのですが、人から聞いたものなので、こちらに移動しました。都市伝説と呼べるほど一般的に知られた話ではありません。


 彼女と彼はよくドライブに出かけた。
 お気に入りのドライブコースは海岸線のコースで、途中にある
細い脇道を入ると、あまり人の来ない岬に出る。
 そこに車を停め何時間もおしゃべりをするのを常としていた。

 普段は車を停めると車外に出て、岬の土手に腰を下ろしてしゃ
べるのだが、その日はあいにくの雨。
 仕方なく車の中から海を見つめながらしゃべっていた。

 ワイパーを止めたフロントグラスは、次々と流れ落ちる雨が半透
明のカーテンになり、ぼやけて見える海は雨雲を映してどんよりと
暗い。
 しかし、二人にとってはどんな景色もロマンチックに見える。
 明るくはずむ会話は、時のたつのも忘れさせる。

 何時間が経ったろうか。突然、会話が止まった。別に何か原因があったわけではない。ふと、会話がとぎれたのだ。さっきまで、小鳥のさえずりのような声で満たされていた空間が、急に異質なものに変わり、気にとめていなかった車の屋根をたたく雨音が、妙に大きく響く。
 「帰ろうか。」
と、彼が言おうとしたその時・・・

 突然、車がその場で180度スピンした。

 エンジンは止めていたにもかかわらず、まるで、大きな手で鷲掴みにされたように、「グルン」と言う感じで、突然、車がその場で転回したのだ。
 車を停めていたスペースは平らな場所で、坂道であったわけではない。だから、雨でぬかるんで車が滑ったと言うことは考えられない。

「何?何なの?」
と、彼女は彼に聞いたが、無論、彼にも、何がなんだか訳が分からない。
「いつまでも海を見ていないでさっさと帰れ。」
と何者かが言っているような気がして気味が悪くなり、あわててエンジンをかけ、二人は家路についた。

 奇妙な出来事はその日一回限りで、それからは何事もなく平穏な日々が過ぎて行った。あの場所に行っても何も起こらない。
 あの日の出来事は次第に彼らの意識に上ることもなくなり、記憶の隅に押しやられていった。
 そして数年後、二人は結婚し新婚旅行に出かけた。
 車好きの二人は迷うことなく、愛車で旅立った。着いた場所は日本海に面した海沿いの街。旅館でふるまわれる豪華な海の幸に舌鼓をうち、幸せな夜を過ごした。
 2日目の朝は雨だった。しかしせっかく来たのだからと、車に乗り、街を散策することにした。まだ朝が早いため人通りは無く、濡れて光る石畳の美しさに目をやりながらゆっくりと車を走らせた。
 小さな街なので、すぐに街外れに出てしまい、二人は岬へと向かった。
 そして車を停め、雨の海を見ながら二人は肩を寄せ合っていた。
 幸福の絶頂だった。

 小雨になっていた雨が勢いを増すにつれ、屋根を叩く雨音が耳につき始めた。そして、二人は思い出してしまった。 あの日の出来事を。
 しかし、このタイミングであんな奇妙な出来事を口に出すのはしゃくだった。「ロマンチック」に二人とも浸っていたかった。
 そして、そのまま口にしなければ何も起こらなかったかもしれないのに・・・・・・。


 しかし、彼女は口に出してしまった。
「そう言えば、昔、こんな風にしていて変なことがあったわね。」


すると、突然後部座席から、野太い男の声がした






もう一回まわしたろか