×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


私の足は・・・・?    岐阜県

■愛莉さん(岐阜県 女性) 


 ある中学校に、優子という女の子がいた。
 優子は、小さいときに事故に遭って左足を失っていた。
 車椅子の生活になっていたけど、おしゃべり上手で常に笑顔という、とても明るい子だった。
 おまけにとびきりの美人ときているから、みんなから好かれ、学校中の人気者だった。

 しかし、そんな優子のことを気に入らない女子がいた。
 名前は愛奈。
 「片足なのに、あんなに人気者になって、いい気になって。」
と、苛立ちを感じていた。

 愛奈は階段から優子を突き落とすことを企んだ。

 その計画を実行に移すチャンスはすぐに訪れた。
 教室に珍しく優子が一人でいる。
 愛奈は自然に優子に近づいた。
「ねぇ優子。一緒に図書室行こうよ!」
「うん!・・・・でも、車椅子・・・。」
「あー。大丈夫!私が押してあげるよ。」
 愛奈は優子の車いすのハンドルを握った。そして廊下に出た。
 図書室は1階にある。教室から降りるには階段を使わなくてはならない。
 普段、階段を使う時は力自慢の男子達が優子の車いすを上げ下ろししている。その光景も愛奈には(うと)ましいものだった。
「ふん。男子達に囲まれていい気になって!まるで女王様気取りね!」
内心いつもそう思っていた。それも今日までだ、そう思うと自然に笑みがこぼれてくる。

 階段に着いた時、辺りには誰もいなかった。迷いなんてひとかけらもなかった。

「あ!階段だね。どうし・・・」
ドン!

 優子の言葉が終わらないうちに、愛奈はハンドルを強く押した。階段に向かって

「いやー!!!助けて!愛奈ぁぁ!!!」
 
 ガッシャーン・・・!!

 けたたましい音を響かせ、優子は車椅子と共に落下した。
 車椅子の下敷きになっている優子の右足は、異様な方向にねじれ、曲がっている。しかし優子はぴくりとも動かない。

「ふふっ
みんなぁっ!!!優子がぁ!!!!」
愛奈は優子の急を知らせるため、教室の方へ駆けていった。
 しかし、その顔には薄く冷たい笑いが貼り付いていた

 優子は、右足をも失って永遠の眠りについた。
 愛奈のことを疑うものは誰もなかった。
 学校中が悲しみに沈んだが、仕方のない事故として処理されてしまった。

◆◆◆◆◆

 あれから10年
 愛奈は大人になり、ワンルームマンションで一人暮らしを始めていた。

 ピロリロリ

 ベッドでくつろいでいた愛奈の携帯が、軽やかな8分音符で着信音を奏でた。

「はい、愛奈だけど。」
「ねぇ・・・、私の足かえして」・・・・プツン

「え・・・、‘足’?   まさか!・・・ありえないわ!」
 忘れかけてた10年前のことが蘇った。全身を恐怖が襲った。
 一人で部屋にいることに耐えられなくなった愛奈は、バッグをひったくるように持つと廊下へと出た。
 不思議なことに照明は点いておらず、とても薄暗かった。
 エレベーターのある方へ2・3歩足を進めたが、愛奈は歩みを止めた。

ズズッ    ズズッ    ズズッ・・・

 異様な音を立て、薄暗い廊下を這ってくるものがいる。

「何?! 何なの??」

ズズッ    ズズッ    ズズッ・・・

 その異様なものはどんどんせまってくるが、愛奈は凍りついてしまったかのように、その場を動けないでいた。

ズズッ    ズズッ    ズズッ・・・
 
 愛奈のすぐ近くまで来た時、それは顔を上げた。

 「!!!!」

 愛奈の目の前に現れたのは、死んだはずの優子だった。
 美しかった顔は血にまみれ、憎しみと怒りでひどくゆがんでいる。
「ねぇ・・・愛奈、私の足かえして。」
「あなたの足なんてとってないわよ!!」
 優子は、手を使って前に進んでくる。
 顔から血を滴らせながら、愛奈に向かって確実に進んでくる。
 そして手を伸ばせば届く距離まで来た。

「足を返してくれないなら・・・愛奈の右足、チョウダイ。」

 そう言って愛奈の足をつかんだ。
 優子の長い指と爪が愛奈の足首にくいこむ。

「いっ・・・やめて!!!!足が取れそう!!!!」
「エッ??
トレソウ??
アハハハ!!!
足ヲトルノ。
チャントカエシテネ」
 ・
 ・
 ・
「いやぁぁーーー!!!!!」


 次の日、マンションの住人に発見された愛奈は、血まみれの状態で死んでいた。
 死んだ愛奈には、右足がなかった。