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足音
親しくしていた女性の体験談です。

 私、怖い体験とか不思議な体験だとか全然しない人なんだけど、たった一度だけ、心底怖いと思った体験があるの。

 まだ私が18才の頃のこと。
 当時私はある男性と同棲していたの。その彼がよく言う霊感体質な人で、ほんとにしょっちゅう見るみたいだったな。私にはあまり詳しくは教えてくれなかったんだけど。
 そして、彼のその体質は周囲にいる人にまで影響与えてたようで、妙な体験したり、考えられないようなけがをしたり病気をしたり・・・・、いろんなことが起きてたらしく、冗談半分、本気半分な感じでよく苦情を言われてた。
「お前のお陰で、大変な目にあったぞ!」
って。
 そして私にも一度だけその影響があったの。

 その日はひどい雨。夜になっても雨は止みそうになくて、ベッドの中で屋根を叩く雨音がやけに響いているのを聞いていたことを覚えてる。
 二人とも眠りに落ちて、どれくらい経ったかな。隣に寝ている彼のひどくうなされる声で目が覚めたのね。
 本当にひどいうなされようで、私は彼のことを心配するより怖くなってしまうほどだった。私は怖くて怖くて思わず彼を揺り起こしてしまった。
「ねえ、起きて!起きて!大丈夫なの!?ねぇったら!」
「・・・え?あ、ああ・・・・うん。」
「どうしたの?大丈夫?」
「・・・・ん?うん。うなされてた?」
「うなされてたなんてもんじゃないわよ。一体どうしたの?」
「ああ・・・。女が・・・ね。」
「女?どういうこと?女がどうかしたの!?」
「いや・・・何でもない。お休み。」
「ちょっと、待ってよ。ねえ!ねえったら!!」
私の言葉をふりほどくみたいに、彼はくるっと私に背を向けて眠ってしまっちゃったの。
(何なのよ!?怖いじゃないのよ!女がどうしたのよ!?)
私は少し腹を立てたものの、もう寝息を立てている彼の邪魔をすることも出来ず背中を見つめてた。

 しばらくして、突然私の背後から音が聞こえたの。私の頭の後方、距離にすると1mか50cmか位のすぐ後ろで。

ピタ・・・ ピタ・・・ ピタ・・・

って。
(え?何?足音?・・・・まさか。蛇口から水が垂れてるのよ、きっと。それでなきゃ雨漏りよ。)
そう考えた私は、その音の間隔が一定であることを確かめようと、音に合わせて数を数えたりしてたの。
 でも・・・・、違うの。どれだけ否定してもはっきり分かるの。その音はフローリングの床を少し濡れた裸足で歩く音なの。

ピタ・・・ ぎし ピタ・・・ ぎし ピタ・・・ぎし

足音に混じって床が少しきしむ音まで聞こえてる。
 そして、さっきの「女が・・・。」っていう彼の言葉がよみがえって・・・。
 私は泣きそうになりながら身を固くしてた。

ピタ・・・ ぎし ピタ・・・ ぎし ピタ・・・ ぎし

 音はずっと続いてる。私のすぐそばで。私は胸がつぶれそうになりながら目の前の彼の背中にしがみついたの。
 耐えられなくなった私は、彼がそこにいることで少し勇気も出て、思いきって立ち上がったの。
 部屋の灯りを点け、そして背後を振り返った

  もちろんそこには誰もいなかった。
 ほっとした私はベッドに戻り気を失うようにして眠りに落ちたわ。

 翌朝、夕べのことを彼に話したの。
「夕べは一体どうしたの。凄くうなされてたけど。」
「ああ。女がね。見たこともない女なんだけど。俺にのしかかって胸をぎゅーって押さえてきたんだ。苦しくってね。」
「何?それ。霊ってこと?」
「ん?うん・・・・多分そう言うこと。」

 私は全身に悪寒を感じながら、昨日音がした辺りの床を点検した。ひょっとして足跡が残っているんじゃないかって思って。でもそれは発見できなかった。
 ただ、丁度昨日足音が聞こえていた辺りの床が、ちょっと浮いているような変な感じなのは分かった。
 わたしは、怖さと闘いながらその床に立った。裸足で。そして足踏みをしてみたの。

 ピタ・・・ ぎし
 ピタ・・・ ぎし
 ピタ・・・ ぎし

 同じだった。夕べの音と。

 夕べ、ここにいたのは、誰だったの?


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