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橋の下の暗がり

 先日、職場の同僚たちと久しぶりに飲んだ。忘年会などの親睦会行事の飲み会は時々あるのだが、数人で誘い合わせてというのは本当に久しぶりだった。
 上司のおらぬ宴席は実に気楽で、ついつい杯はすすみ、かなりの酩酊状態に陥った。
 2次会のカラオケも終わり、解散となったのは午前1時をすぎていた。2次会会場にほど近い場所に住む女性を徒歩で送り、その後一人となった私は家までは数キロの距離はあったが、酔い覚ましにそのままぶらぶらと歩くことにした。
 真冬のことであり、私の酔いも少しずつ冷めていった。
 そのあたりは、以前に住んでいた家の近くで、最近新しい道がついて少し様子が変わったとはいえ、今も車でよく通るので、帰路を間違えるはずなどない。しかし、東に向かって歩いていたはずが、いつの間にかその新しくできた道を北に向かって歩いていた。
「あれ?まだ酔いが覚めてないんかいな?」
次の交差点まで歩みを進み右に折れて、私は再び家に向かった。
 その道は桂離宮のそばの道で、新道とは違い街灯もまばらでずいぶん暗い。
 しばらく歩くと、桂川の堤防にでた。南に少し歩くと桂小橋という橋が架かっている。その橋を渡るため、堤防の道をぶらぶらと冷たい川風に吹かれながら歩いていた私は、なんと言うことはなく河川敷に目をやった。
 「ん?」
橋の下の暗がりに何かいるようなのである。真っ黒い固まりだ。
 「なんや?」
なぜか私はその黒い固まりから目が離せないのだ。
 しばらくするとその黒い固まりは橋の下からゆらりと出てきた。
 明らかに人の形はしている。
 「散歩かな?しかしこんな寒い夜に。物好きな・・・。
  せやけど・・・あれ・・・・」
 真っ黒なのだ。
 頭の先から足の先まで。
 黒い服を着ているという意味ではない。
 確かにシルエットは衣服を着込んだシルエットではある。影のように平面的なものではない。しかし顔とか服とかの境目はなく、全身、ただ真っ黒なのだ。黒い人型の固まりとしか言いようがない。
 「なんや!?あれは!?」
私の目は釘付けになった。しばらくするとその黒い固まりは前のめりの格好で、上流に向かって進み始めた。歩き出した、という感じではなく、かといってふわふわと浮いてる感じでもなく、歩くより少し速いくらいのスピードで、さささっと言う感じで進み始めたのだ。
 橋から10mぐらいのところに小さな小屋が建っていてその固まりはその小屋の向こうに入っていった。橋を渡り始めた私は、橋の上から小屋の向こう側を見てみたが誰もいない。つまり、消えてしまったのだ。

 私はずっとその小屋から目が離せないでいたので、知らぬ間にどこかへ歩き去ると言うことは考えにくい。またその小屋は河川管理のための施設のようで通常、中に入れるようなものではなさそうだ。
 一体、あれは何だったのだろう?


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