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算盤塾帰りの少年

 この話は先述の「お参りする老婆」の話ととても似た体験である。 体験したのは老婆の話よりさらに遡り、私が小学校高学年ぐらいの時のことである。
 なぜであったのか今ではもう思い出せないが、日が暮れてから私は自転車に乗り、家へと向かっていた。私の家は商店街のはずれにあり、日が暮れたとは言っても、商店街の街灯でかなり明るい道を走っていた。
 アーケードが切れ、交差点を左折すると、もうまもなく私の家だ。その交差点には小さな神社がある。その前を通る時、ふと神社の方へ目をやると、手提げ鞄からケースに入った算盤をのぞかせた、 ちょうど私と同年代くらいの少年が賽銭箱にもたれるようにしてこちらに向かって立っていた。 
 私の少年時代はまだ算盤塾に行く子供は多く、そんなに珍しいことではないが、 その少年には見覚えがなかった。小さな田舎町なので同年代の子供に見覚えがないなんてことはあまり考えられない。誰だろうと思い、左折をして今度は横から境内にもう 一度目をやった。しかし、そこには誰もいなかった。
 このたぐいの話はおそらく多くの人が経験していると思う。そして、「あれ?」と一瞬不思議に思い、次の瞬間には「きっと気のせいだ」と思う。特に恐怖感を感じることもない。それら沢山の「気のせい」は、殆どが忘れ去られ、思い出すこともない。しかしこうして、何十年経っても覚えているものもあるのは、いったいなぜなのだろう。


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