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悪戯(いたずら)電話

 最初にあの電話がかかってきたのは、まだ、私が大学の2回生のときだった。そう…、思えばいまから20年以上前のことになる。


 ある夜、私が自分のアパートで眠っていると、リリリリリーン…と甲高い音で電話が鳴った。 枕もとの時計が指していたのは、確か午前二時を少し廻った頃だったと思う。
 ふだんなら夜更かしの私のことだからまだ起きている時間なのだが、その日はたまたま早く寝てしまったのだ。 熟睡していたのでかなり不機嫌になりながら受話器を取り上げた。
 「…はい、…もしもし」
かすれた声で答える。すると、少し間をあけてから受話器から妙な声が聞こえてきた。
 それは、大人の男が声のトーンを変えて作った子供の声のような、なんとも言えない気味の悪さがある声だった。そして、一方的にこんなことをしゃべりだしたのだ。

「もしもしぃ…おじちゃんのうち、火事よ。外を見てごらん…。
 消防ちゃんに電話した?じゃあねぇ〜…」(ガチャリ!ツーツーツー……)

 もちろん私は、誰かの悪戯電話だと思った。
 そして、そんなことをしそうなヤツを色々と思い起こそうとした。
 しかし、悪友はたくさんいても、こんな馬鹿な悪戯電話をしてきそうなヤツには心当たりがなかった。
 そう思うと急にヤバイ!と思い、窓をガラッと開け、火が出ていないか外を つぶさに点検した。 まさかとは思うが、ほんとうに放火かも知れない…と考えたのだ。
 しかし、外は真っ暗で、火の気はまったくない。
 だんだん腹が立ってきて、そのあとは眠れぬ夜を過ごしてしまった。
 翌日、大学へ行って昨夜の話をしたのだが、誰もが興味なさそうで、反応をしめす友人はひとりもいなかった…。

              
***
 

そんなことがあってから、十年近い年月が流れた。
 そして、私は結婚をして小さなマンションに居を構えた。
 あのアパートから数えて三回目の転居になるだろうか。 小さいながらも妻と暮らす新居は、心から落ちつける場所だった。
 平穏な日々が過ぎていたある夜…。
 夜中の二時過ぎに、電話が鳴った。
「いったい誰だょ、こんな時間に…」
と思いながら、電話機は夜中は留守番モードにしてあるのでそのまま放っておいた。
 向こうが話せば誰だか分かるし、急用なら分かってから出ようと、半分眠りながらスピーカーから流れ出すであろう声を待った。

 留守を告げるガイドボイスの後、聞こえてきたのは…。

「もしもしぃ…おじちゃんのうち、火事よ。外を見てごらん…。
消防ちゃんに電話した?じゃあねぇ〜…」(ガチャリ!ツーツーツー……)
 電話機のスピーカーからはあの時と同じ、一字一句変わらない言葉で、たどたどしい作り声が聞こえて きたのだ。
 妻も目覚めていたが、あの声を初めて聴く妻にとっては、なんと言うことのないいたずら電話にしか過ぎない。何なのだろうね、と私の方をふり返った妻は、蒼白になり恐怖に引きつっている私にどうしたのかとたずねたが、私の口からは言葉は出なかった。

 信じられないことだった。十年という時間をこえて、あの日とまったく同じ声で、同じ内容の悪戯電話ができるヤツなんて、はたしているのだろうか。
 それに私は3度の引っ越しを重ね、電話番号もその都度変わっている。
 繰り返し言うが、私の友人、知人でそんな「オチ」のない、無気味で救われない悪戯をするヤツは断じていない。

 もし、悪戯ではないとすれば、これはいったい


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