縁(えにし)   〜「妻を起こす」後日譚〜

 「妻を起こす」の記事を書いて数年が経ったある日、私は郷里に住む私の姉と電話で話をしていた。「雑記帳」に記した、「ダイエット成功術」の記事中に出てくるM商事の仕事を姉はしており、M商事のプロテインでダイエットが成功したことを報告するためである。
 その話のついでにこのサイトのことを話し、サイトには姉の体験談も数点あり、その中に姉の義父にまつわる記事もあることを話した。
 ひとしきり思い出話に花が咲き、懐かしい思いに双方が満たされたところで受話器を置いた。

 翌日、早速、記事を読んだと姉から電話が入った。元来がこういった不思議話が好きな姉だから、たいそう喜んでいる様子だった。実の姉から記事の反応を聞くのは照れくさくて早々に受話器を置こうとしたが、話の最後に、「実は・・・」といった感じでこんな話を姉はしてくれた。

 昨日の電話で義父の話で盛り上がったので、しばらく思い出に耽っていると隣人が訪ねてきた。近所に住むAさんが亡くなったという知らせだった。

 Aさんというのは義父の幼なじみで、ずっと仲良くさせていただいていた人だった。義父の親友と言ってもいい人で、義父の葬儀の時もたくさん世話になった人だった。
 決して多くを語る人ではなかったが、黙々と葬儀の準備の手伝いをして下さる様子に、Aさんの内に秘めた思いが伝わってきて、姉は目頭が熱くなったと言う。
 そのAさんの突然の訃報だった。それが久々に義父の思い出に浸っている最中(さなか)にもたらされたことに、姉は言いしれぬ何かを感じているようだった。
 
 説明のつかない、こうした人と人との不可思議な繋がりを
(えにし)
と呼ぶのだろうと、私は思う・・・・。

合掌


 背景の梵字はキリークと読み阿弥陀如来を意味するそうです。あちらの世界で旧交を温めておられるに相違ない義父とAさんにお供えです。 
 フリー素材@WEB *** 酒と薔薇の日々 ***  様からお借りしています。     南無

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