グリーン・マイル

 グリーン・マイルと言う映画をご存じだろうか?2000年に公開されたスティーヴンー・キング原作、トム・ハンクス主演の映画だ。
 グリーンマイルとは、処刑室に送られる受刑者が最後に歩むリノリウムの廊下のこと。刑務所に送られた死刑囚ジョン・コーフィー(マイケル・ダンカン)は世の中のあらゆる苦しみを自分のものとして、命の奇跡を生み出す力を持っている。(ワーナーブラザーズ社公式サイト)
 映画の一場面に、その癒しの力を発揮する際に圧倒的なパワーが発散され、刑務所の電灯が次々と破裂してしまうシーンがあった…。

 私は、妻とその映画を見に行った。その日は朝からひどい雨で、映画館に着いた時は雷を伴うほどの強さになっていた。
 映画は佳境に入り、ジョン・コーフィーが力を発揮する場面になった。苦しげな顔がアップになり、体全体から力がほとばしりだしたまさにその瞬間…
 突如、画面は消え天井の薄暗い照明も落ち、映画館は真っ暗になった。

 後で流れた館内放送で分かったのだが、原因は落雷でなんと言うこともない事件だった。しかし、タイミングがタイミングであっただけに、館内は小さなパニック状態になった。まるで、コーフィーの力がスクリーンから漏れだしたかのように感じた観客は多かったと思う。

 昔は落雷で停電と言うことはよくあったが、最近は本当に殆どそんな経験をしなくなった。電力会社の努力は並々ならぬものがあるのだと想像される。ちょっとやそっとの落雷で停電するような脆弱なシステムではなくなっている。
 なのに、あのタイミングで停電するなんて、信じがたい気持ちになる。まさか、役者であるマイケル・ダンカンが本当にそんな力を持っているはずがないし、ましてスクリーンから力が放出されるなんてことがあるはずがないのは私もよく分かっている。

 しかし、もしかしたら…

 観客の意識の表層の下に普段隠れている無意識層が、映画のストーリーに入り込んでしまうことで集団ヒステリー状態(一種のトランス状態)になり、思いがけないパワーを発散してその現象を引き起こしてしまった…
 
 ははは。いくら何でも考えすぎだ。


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