ひとだま2 (姉のケース)


 私の姉も一度だけ目撃をしている。
 姉は高校時代、野外活動部と称するキャンプを主体とするアウトドアクラブに所属していた。その部では新入生歓迎のキャンプで、肝試しをするのが恒例となっていた。
 二年生だった姉は驚かす役で、暗いキャンプ地の草むらにひそみ、ヤブ蚊と戦いながら、眼前の山道に1年生がくるのを待っていた。
 と、その時、「ボッ!」とかなり大きな火が発火するような音が背後から聞こえたので、振り返ると、やはりソフトボールぐらいの火の塊がふわりふわりと地上1mぐらいの高さを保ちながら飛んでいた。
 一瞬ぎょっとはしたが、誰かが針金か何かでつった火の玉を作り、驚かすつもりなんだろうと思って、また山道に目を戻した。

 きゃーきゃー怖がる1年生たちを驚かし、最後の組が行ったのを確認して姉は部員たちの集合場所に戻った。そこで、おもしろかったことをひとしきりげらげら笑いながら話した後、先ほど見た火の玉の仕掛けを聞こうと他の部員にたずねると、誰もそんな物は知らないと言う。逆に皆を驚かそうとそんな作り話をしているのだと冗談交じりに責められる始末だった・・・


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