ホモの幽霊

 半覚醒の状態にある意識の変性が起こす不思議なことはテレパシーだけではありません。金縛りなんてのはその代表格で多くの人が体験していますよね。私の金縛りは、はっきり自分の精神状態の産物だと言うことができます。決して霊体験ではないと私の場合は確信しています。なぜなら、金縛り中こうなると面白いなと思うとそうなるからです。例えば、身体が浮くと面白いと思うと、身体が脚の方から浮き上がり、電灯の周りをぐるぐる回り始めます。もちろん目を閉じているので実際に浮き上がっているのを見たわけではなく、そんな感じがするってだけのことです。
 そんな金縛りのケッサク中のケッサクな話をひとつ。


 当時私はまだ、学生でした。
 春休み、悪友と2人急に思い立って、たいした準備も金も持たず、バイクで紀伊半島一周のツーリングに出掛けました。金はないので、春休みの間、里帰りをしているはずの友人達の家に泊まり歩こうと言う、無茶な計画でした。
 三重の方からスタートし、津市で友人宅に1泊目。潮岬を回った所でユースホステルを見つけ2泊目。順調に旅は進んでいきました。和歌山市内に入り、旅も終盤。電話ボックスを見つけ、市内に住む友人に電話をかけました。うまく連絡はつき、泊めてもらうことになりました。
 その友人宅で、例によって明け方まで麻雀をうち、それが終わってごろ寝をしていました。
 ツーリングの疲れもあってか、眠りに落ちてまもなく金縛りがおそってきました。前々から霊体験でないと思っている私は怖くはなく「出た出たまた来た」と、むしろ、金縛りの状態を楽しんでいました。よく言われる息苦しさは私の場合、全くありませんので。
 しばらくすると、うつぶせに寝ている私の脇の下から手を差し込み、私にのしかかってくる者があります。
「おいおい、これじゃまるで、強姦されてる見たいやないか。この上ケツつつかれたりしたらたまらんな。」
と思った次の瞬間、まさに私が思ったとおり、私の肛門あたりをつつくものが。つんつんと腰を振りながら軽く私の肛門をついてきます。思わず吹き出してしまい、それで金縛りは解けました。
 げらげら笑う私の声で起きた友人達は、怪訝な顔で私を眺めていました。私は、今起こったことを話しました。そして仲間達が出した結論は・・・
「この家にはホモの幽霊がいる」

ただで泊めてもらった上、とんでもない言いがかり。
本当に失礼な話です。(笑)


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