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そして、時は止まった

 先日、私は珍しくハンバーガーショップで昼食を摂っていた。
 その日はとても忙しくて昼食を摂る時間が無く、ようやくハンバーガーショップの堅い椅子に腰を下ろしたのはもう3時近かった。

 店内は空いていた。
 ハンバーガーとコーヒーを流し込むように胃袋に落とし込んだあと、喫煙席に陣取っていた私は、煙草をくゆらせて食後の無為な時間を楽しんでいた。こうして落ち着いて座って喫煙できる場所は、今や希少な場所となりつつある。

 空腹感が満たされた私は、1テーブル離れた席に1組の若いカップルが深刻なムードを漂わせながら座っているのに気がついた。
 どうやら彼らは別れ話をしているらしく、女の子はうつむいてぽろぽろと涙をこぼし始めた。向かいの席の男は困ったような表情で彼女を見つめている。

 こんなところで別れ話なんかするなよ。

 男の思いやりのなさと、平和なひとときを邪魔されたことに私は少し腹を立てたが、文句を言うわけにもいかず立ち去ることに決め、テーブルの上に置いてあった煙草や携帯などをバッグに片付け始めた。

 その時である。

 カップルが頼んだとおぼしきアイスコーヒーをトレイに二つ乗せた店員が近づき、カップルのテーブルに置くやいなや満面の営業スマイルを浮かべて、すばらしくよく通る声でこう言い放った。







「ごゆっくりどうぞ〜」








 直後、店員も状況を飲み込み、笑顔のまま表情が固まった。

 店内の全てが凍りついた

 そして、時が、止まった




もうちょっと早く空気読めー!