タクシードライバー
よくある話・・・と思わず最後までぜひお読み下さい。そこには驚愕のラストが・・・
先日、深夜にタクシーに乗った。ドライバーは饒舌で、乗務中の様々な興味深い話を次から次へと聞かせてくれて、私を退屈させることはなかった。
その折に話してくれた彼の体験談を報告したいと思う。
これは、長く乗務していると背筋のぞっとするような体験をすることもあるのか、という私の問いに対してのものだった・・・・
・・・・・怖い体験ですか。
そう言えば、こんなことがありましたなぁ。
もう20年以上も前のことなんですがね。お客さんにこの話するのは初めてですよ。
ちょうど今日のような、雨のそぼ降る日のことでしたねぇ。
深夜乗務で流してたんですが、街灯の下に女の人が立ってるんですよ。
赤い傘さしてね。
手、挙げてはなかったんですが、こっちをじっと見てるし、停まったんですよ。
ドア開けて、乗りますかって訊いたら黙って乗ってきて、岩倉(京都市内の北の外れ)までやってくれって言われました。
ルームランプの下で見ると、ずいぶん顔色の悪い人だなって思いましたよ。真っ青って言うのか、土気色って言うんでしょうか・・・。
きれいなんだけど、とにかく精気のないお顔でした。
その顔見たとき、失礼な話だけど、私、鳥肌立っちゃいました。
若いのにとても陰気なお客さんで、走り出して私が話しかけてもずっと黙ったままでした。
私もおしゃべりやめましてね、黙って走らせてたんですが、家の途切れるあたりまでくるとなんだか背筋が寒いわけですよ。ずっと鳥肌は治まらないしねぇ・・・・。
ええ、岩倉は当時はまだ今みたいにたくさん家も建ってないし、ずいぶん寂しいところでしたよ。
ルームミラー越しにそのお客さん見たら、うつむいてなんだかずっと、ブツブツ言ってるようなんですよ。
ぞーっとしましたねぇ。
深夜走ることは珍しくないし私も若かったですから、どこ走ったって、誰乗せたって、怖いなんて思ったこと無かったんですが、そのときはなんだかいつもと違いましたよ。
言われた辺りまで来たんで道聞こうと思ってね、もう一度ルームミラー見上げたら・・・・
いないんですよ。
ベタな話ですけど、出たーって思いましたよ、そりゃあ。話には聞いてたけど、とうとう俺もこの手の体験したかーってねぇ。
どうしようって思ったけど、やっぱりブレーキ踏んで、後ろ、確かめずにはいられないじゃないですか。
シートがぬれてるかどうか。
車を停めて、ルームランプ点けました。
そして、おそるおそる振り返ったんですが・・・・・・、やっぱりいないんですよ。
シート、見ようとそーっと覗き込んだら・・・・
この話、続き、聞きますか?
ちょっと引きますよ。
その女・・・・・
シートから転げ落ちて、
へど、吐いてやがったんです。
顔色悪かったのは、
悪酔いしてやがったんですよ。
一杯食わされました。
タクシードライバー、おそるべし!
|