呪われたフランス旅行券

 私、くじ運はそんなに高くありません。年賀状のお年玉は切手シートしか当たったことないし、年末の福引きのがらがらじゃ白玉しか見たことがないし、宝くじは何度買っても300円以上当たらないし。
 そんな私ですが一度だけとんでもないものが当たったことがあります。
 もう10年以上前の話ですが、ガソリンスタンドのキャンペーンで応募した4泊6日のペアフランス旅行券。これが見事当選しました。
 当選者が権利を放棄したために私に回ってきた繰り上げ当選でした。

「こんなすごい景品を
放棄するなんて、
アホな奴がいるもんや。」

 当選通知に書いてあった、私が当選した経緯の説明を読みながら私はそう思っていました。
 しかし、出発日を見ると・・・・、 どう仕事のやりくりをつけても可能な日取りではありませんでした。
 愕然とし、あきらめきれない私は何とか算段がつかないか、それから数日調整を図ってみました。しかし結果は同じでした。
 改めて説明書を読むと、3親等以内ならその権利は譲れるとありましたので、涙をのんで親類縁者にくれてやることにしました。
 まずは親に電話をかけてみましたが無理との返事。
 次いで嫁いだ姉、妻の姉夫婦、妻の父母・・・
と、あちこち当たってみましたが、 誰も行けるものはおりませんでした。
 ただで!
 フランス!
 しかもペア!
 こんなうまい話が何一つとして前に進まないのです。
「なんでやねん!」
私は最後の受話器を置いた後、大声で叫んでました。
 あきらめて事務局に連絡し、私も権利を放棄しました。
 次の奴も思うんでしょうね。

「こんなすごい景品を
放棄するなんて、
アホな奴がいるもんや。」